日本語版 | 
English
｢ふるさとに帰る日｣ シリーズ
東日本大震災によるフクシマの原発事故でふる里を追われた人々、失われた自然や人々の暮しを想い描いています。
｢赤宇木から避難してきました。
あそこは自然が豊かで
ヤマユリがあちこちに咲くんです。
私の庭に咲いていた草花は、
今頃どうしているかしら。」
この絵の前に佇んで
わたしに語りかけ
涙ぐむ婦人がいた。
赤宇木は帰宅困難地区の浪江町津島にある
ふるさとに帰る日／The day to Return Home 2014年
194 x 162cm 岩絵具、麻紙／Natural Pigments on Hemp Paper
月と赤い実
高い線量
人の住めなくなった里山に
咲き乱れる草花
陽は沈む
たわわに実った がまずみの
枝々の向こうに
静かに昇ってくる月
月と赤い実／Moon and Red Berries
33 x 24cm 岩絵具、雲肌麻紙／Natural Pigments on Hemp Paper
磐梯山は見ている／Mt.Bandai is Watching
162 x 194 cm 岩絵具、雲肌麻紙／Natural Pigments on Hemp Paper
青々とした苗が波打つ田んぼは
今はなく
おびただしい数の汚染土が並ぶ
荒れた畑に
重機がうなり声をあげながら
トラックから黒い袋を下ろしてゆく
畑のすみに 紅い花を見付けた
花びらが風に揺れ
どこから来たのか虫が一匹
花のまわりを飛んでいた
線路の向こうに
海が見えた
2014.5
楢葉町にて
紅い花／Red Flower
17.3x21.5cm 岩絵具、雲肌麻紙／Natural Pigments on Hemp Paper
